Givenchy 2026年春夏コレクション──パワフルなフェミニニティと官能が席巻する
サラ・バートンのメゾンでの2度目のショーは親密でありながらエンパワリング
〈Givenchy(ジバンシィ)〉でのサラ・バートン(Sarah Burton)によるショーが、まだ2回目だとはにわかには信じがたい。多くのデザイナーが自分のペースをつかむまでに数シーズンを要するなか、元〈Alexander McQueen(アレキサンダー・マックイーン)〉のデザイナーである彼女は、メゾンと自身の双方に新たなアイデンティティをすでに打ち立ててみせた──しかも、それは力強くグラマラスだ。
女性をエンパワーするためにマスキュリンな服やコードに頼るのではなく、バートンは2026年春夏コレクションでエロティックかつセンシュアルな表現に真っ向から挑み、纏うことと脱ぐことの親密さ、そして女性ならではの情緒的知性を可視化した。ショーノートにはそう記されている。
スイス人写真家ルネ・グローブリ(René Groebli)が1954年の新婚旅行中に妻リタ(Rita)を撮影した写真に着想を得て、バートンはそのプライベートな瞬間をパワフルでセクシーなコレクションの原動力へと昇華させた。最も率直な解釈としては、ラップスカートに合わせ、ブラを主役に据えたルック(胸をしっかりとホールドする本格的なブラ)だろう。とはいえ、そうしたモチーフのさりげない引用は、コレクションの随所に散りばめられている。
端正なテーラリングと明快なカッティングはバレエフラットで和らげ、スパゲッティストラップや高めのヘムラインのドレスは一転してガーリーに。アワードシーズンのレッドカーペットを席巻するのは間違いない。ジャケットの芯地を取り去ることでレイヤーにはそぎ落とした軽やかさが生まれ、凛とした自信と落ち着きが漂う。
そのビジョンを具現化するために、バートンは今もっとも引っ張りだこのモデル陣を起用。アレックス・コンサニ(Alex Consani)、モナ・トゥーガード(Mona Tougaard)、カイア・ガーバー(Kaia Gerber)に、ヴィットリア・チェレッティ(Vittoria Ceretti)やマリアカルラ・ボスコーノ(Mariacarla Boscono)、そしてOGなスーパーモデルであるエヴァ・ヘルツィゴヴァ(Eva Herzigová)、リウ・ウェン(Liu Wen)、ナオミ・キャンベル(Naomi Campbell)が加わった。フロントロウにも〈Givenchy〉の新しい女性像を体現する顔ぶれが並ぶ。ジェナ・オルテガ(Jenna Ortega)はシアーなクリムゾンレッドのガウン、シンシア・エリヴォ(Cynthia Erivo)はバートンのデビューコレクションのスーツジャケットを後ろ前に、レイ(Raye)はネット素材のルック、シャーリーズ・セロン(Charlize Theron)とグウェンドリン・クリスティー(Gwendoline Christie)は〈Givenchy〉のテーラリングで登場した。
男性が女性の装いを手がけられない、あるいは手がけるべきでないという話ではない。だが、今日ラグジュアリーファッションブランドのトップに立つ女性がいかに稀有であり、バートンがそのひとりであることは見過ごせない事実で、それはコレクションに如実に表れている。














