キャッツアイが “The Beautiful Chaos Tour” で着用した adidas のカスタムフットウェアに注目
本モデルのデザインを手掛けたスタイリスト ケイティ・チェンにミニインタビューを実施
11月15日から12月16日(全て現地時間)に行われた、ガールズグループ キャッツアイ(Katseye)の初の北米ツアー “The Beautiful Chaos Tour”。メンバーそれぞれの完璧に計算されつつも調和の取れたスタイリングは、いつもそれぞれのキャラクターを鮮やかに際立たせている。そして今回、特に私たちの視線をさらったのは、フットウェアだ。連日のステージでは、彼女たちは特注の〈adidas(アディダス)〉ブーツを着用しており、ヴィンテージのボクシングシューズのシルエットや、レトロなスタイルからインスパイアされたデザインをお披露目した。
スタイリスト ケイティ・チェン(Katie Qian)が手掛けたニーハイ丈のブーツは2型で、全16公演でヘビロテされた。用意されたのは、グランジなムードにファーをあしらったモデルと、ブルー、グリーン、ピンクのマルチカラーでメタリックなペアだ。〈adidas〉と密にタッグを組んだチェンのデザインは、キャッツアイのメンバー6人それぞれのスタイルを完璧に体現。彼女たちを“いま”を代表するファッションアイコンとして、より揺るぎない存在へと押し上げた。
今回『Hypebae』は、そんなチェンにインタビューを実施。キャッツアイのスタイリングについてや、ヴィンテージのフットウェア、さらには彼女の最大のインスピレーションソースについて話を聞いた。
今回のブーツにおけるメインのデザインの着想源は何ですか?
このブーツのビジュアル面で強くインスパイアされたのは、まさにキャツアイのメンバー自身です。“Gnarly”期の彼女たちは、レザーやファーを取り入れたエッジィなルックをとても気に入っていたので、そのムードをツアーのフットウェアにも反映させたいと思いました。ツアールック全体のデザインを固めたあと、その方向性を補完しつつ、一体感のある仕上がりになるようなシューズを作る、というアプローチで進めました。
さらに、メンバーたちはadidasのJapanのスニーカーで踊るといつもすごく調子がいいと言っていたので、そのベースシルエットを取り入れつつ、表情豊かなテクスチャーを加えた丈の高いブーツに落とし込みたいと考えました。彼女たちは激しいダンスやスタントも多いので、ステージでの実用性は常にデザインプロセスに大きく影響します。
キャッツアイのメンバーと仕事をするのは、どんな感覚ですか?
彼女たちと一緒に仕事をするのは、いつだって本当にワクワクします。パフォーマーとしても圧倒的な存在感がありますし、今年の活動にはいちファンとしてずっと注目してきたので、どんな形であれ関われることが純粋にうれしいです。個人的にも、自分の美意識とキャッツアイの世界観の相性がすごく良いと感じていて、一緒に“自分も本気で好きになれる”ルックを作れるのが魅力ですね。グループと仕事をするのはとてもユニークな体験で、最終的にひとつのイメージとして統合されるように、それぞれのスタイルや好みをパズルのピースみたいに組み合わせていく感覚があります。
それぞれのメンバーの個性を、ブーツのデザインにどう落とし込みましたか?
キャッツアイと仕事をするうえで大切なのは、メンバーそれぞれのパーソナリティをきちんと理解し、それを着るものに落とし込むことです。みんな本当にセンスがよくて、それぞれにユニークなスタイルを持っているので、知れば知るほどデザインプロセスが楽しくなるんです。今回のadidasのブーツは、全員がダンスしやすいと感じる同じベースシルエットを共有しつつ、生地やテクスチャー、トーンの違いで個性を出しています。
制作はadidasのチームとの、本当に素晴らしいコラボレーションによって進みました。チームは、私のムードボードをもとに、驚くほど多様で素晴らしい素材を集めてくれたんです。ミーティングでは全スワッチをひとつずつチェックしながら、6スタイルそれぞれのブーツの各パーツにどの素材を使うか決めていきました。最終的には、ツアーの各ルックとの相性に加えて、色の好みや、よりスリークな方が好きか、マキシマリスト寄りが好きかといった私なりの理解も踏まえながら、各スタイルを各メンバーに割り当てました。
デザインする際に、adidasのアーカイブモデルは参考にしましたか?
あちこちで目にしてきたヴィンテージのadidasのボクシングブーツからは、間違いなく大きな影響を受けました。そのシルエットやムードを感じさせるものを作れることに、とてもワクワクしていましたね。同時に、ヴィンテージやDIY、モダンなピースをミックスした、たくさんのビジュアルリファレンスも集めました。多くは、ユニークな質感や異素材ミックスにフォーカスしたものです。ブーツ全体としては、アーシーで、グリット感があって、オーガニックな雰囲気を出したかったんです。既存の何かをそのまま参照したわけではないけれど、自分の中には明確なイメージがあって、この特別なオーダーを形にしてくれたadidasチームには本当に感謝しています。
一緒に仕事をする相手として、まさに理想的なチームでした。こちらのビジョンをすぐに理解してくれて、たくさんのインスピレーションをツアーのための特別な1足へと見事に結実させてくれました。
スタイリングと並行して、今後さらにデザインにも携わっていきたいと思いますか?
とくにカスタムルックがマストなミュージシャンと多く仕事をしていると、デザインプロセスに関わったり、ビジュアルの方向性を提案したりすることは、スタイリングの大きな一部だと感じています。そういう役割は自分自身とても楽しんでいるので、これからも間違いなく続けていくと思います。ただ、実際の“デザインワーク”という意味では、すべてのピースのテクニカルな構造に向き合いながら取り組んでいるデザイナーとそのチームの仕事こそが本物です。服やプロダクトを実際に生み出すためには、スタイリストが担っていない要素が本当にたくさんあって、その点には心からリスペクトを抱いています。















