BYREDO と照明アーティスト ブノワ・ラロズが発表した Infra Luna 2.0 の全貌 | Interviews
〈BYREDO〉のキャンドルとラロズデザインのランプを融合させた多感覚インテリアアートのデザインプロセスや制作秘話などを深掘り
2022年5月、フレグランスブランド〈BYREDO(バイレード)〉が発表した、ブランドのファウンダー兼クリエイティブ・ディレクターのベン・ゴーラム(Ben Gorham)と、フランスのデザイナー/照明アーティストであるブノワ・ラロズ(Benoit Lalloz)のコラボレーション。本コラボでは、同ブランドのキャンドルとラロズデザインのランプを融合させた多感覚インテリアアート Infra Lunaが発表され、発売後は程なくして完売するなど、好評を博した。
スタイリッシュな円形のスチールフレームを採用したInfra Lunaは、彼のインダストリアルな美学に基づいて製作。下部のLEDライトを備えた台座には〈BYREDO〉のキャンドルが置けるように、上部の電球はキャンドルのワックスを熱で溶かして液体化するような仕組みとなっており、暗闇にて広がる香りと美しく輝く光を楽しむことができる。また、付属しているブルー、レッド、クロームの3色のキャンドルキャップは、キャンドルに被せることでそれぞれ異なった雰囲気を堪能することが可能に。加えて、ランプから伸びるグリーン/ブラックの鮮やかなケーブルは、無機質なシルバーのカラーリングにアクセントをプラスした。
この度、そんな両者のチームアップが、約3年のときを経て再び実現。今回オリジナルのInfra Lunaの復刻とともに〈BYPRODUCT(バイプロダクト)〉に加わるのは、前作からデザインを一新させたInfra Luna 2.0だ。今作では、モダンなシルバーに加えて、蛍光ピンクというダイナミックで鮮やかな色合いを採用。形状やディテールも新しくなっており、“昆虫のきらめく体”から着想を得た万華鏡のようなシェードや縞模様のケーブルなどは、前作と比較しより芸術作品としての表現を濃くしたように感じられる。
本稿では、Infra Luna 2.0のリリースにあわせて、デザイナーであるブノワ・ラロズにデジタルインタビューを敢行。前作の反響や、今作のデザインプロセス、ディテールやカラーリングを再編集した経緯などを伺った。
Hypebeast:Infra Lunaという名前に込められた意味を教えてください。
Benoit Lalloz:“Infra”という言葉は、太陽光線に含まれる赤外線(Infrared)に由来しています。そして“Luna”という言葉は、月を指しており、その魔法のようなグレーの色合いが印象的です。この星が片側で太陽の光を反射する様子に、詩的な美しさを感じることからこの言葉を引用しました。
2022年に発表したInfra Lunaには、どのような反響がありましたか?
2022年に発表されたInfra Lunaは、信じられないほど非常に好評をいただき、多くの方々に感動を与えました。このオブジェは、“アロマキャンドルを溶かし、その香りを広げる”という明確な機能を備えていますが、それだけでなく、使用する人々に夢のような感覚も提供しています。このような感覚を一般の方々と共有できたことは、私たちにとって非常に驚きであり、嬉しい出来事でした。最初のシリーズはあっという間に完売し、多くの方々から購入方法に関する問い合わせをいただきましたが、残念ながらその時点ですでに完売していました!
どのようなプロセスでInfra Luna 2.0を制作することになったのかを教えてください。
テーブルに置くランプのデザインを構想することは、天井に吊るすオブジェとはまったく異なるプロセスです。その性質上、ユーザーに直接触れてもらうことを意図したオブジェに取り組むことは、非常に刺激的なアプローチであり、非常に繊細な配慮が必要でした。視覚や嗅覚といった感覚的な要素に加えて、触覚を重視したアプローチが求められたのです。このようなアプローチは、BYREDOの世界観ととても調和し、より感情的で相乗的な体験を生み出すために重要でした。
Infra Luna 2.0はデザインにおいて前作からどのように進化したのか、詳しく教えていただけますか。
まず、オブジェの形状はシンプルになり、少し長さが増しました。そして、カラーリングが施されることによって、より個性的な印象を与えます。色の選定には非常に多くのリサーチとテストを行い、最終的にはシリーズで忠実に再現できるカラーパレットを決定しました。特に、アルミニウムのアノダイズ処理を施すことは非常に技術的な挑戦でしたね。
数週間前のある晩、私がスタジオでInfra Luna 2.0のピンクのプロトタイプを見ていた際、夜が深まるにつれてそのオブジェが目を覚ましたかのように、一種のゴーストかスピリットが宿っているような不思議な感覚を覚えたのです。静寂の中でエネルギーが流れ込むような不思議な感覚──これは、魔法のようでした。
また、電気ケーブルのシースのデザインに関しては、技術的な可能性を理解した上で、蝶の羽の色や現代的なチューブ状のグラフィック表現を取り入れる方法を見つけることが求められたんです。これは、私にとって全く新しい経験でした。
シェードの形は“昆虫のきらめく体”から着想を得たとのことですが、数ある物事の中でどうしてこの点に着目したのでしょうか?
最初にこのランプを見たとき、私はその形状に“外骨格”のような印象を受けました。それが昆虫の形を思わせたのです。その参考として、昆虫の魅力的な世界を掘り下げた1996年の映画 ミクロコスモスが私の中で強く印象に残っています。映画が描く昆虫の世界の魅力に触発されました。また、色の試行錯誤の中で、多くの色に魅了されましたが、最終的にピンクの柔らかさが最も心に響いたのです。このピンクは“プチ・スフィンクス・ド・ラ・ヴィーニュ”という蝶の色にインスパイアされています。
前作ではモダンでシンプルなシルバーのカラーリングが印象的でした。Infra Luna 2.0では、それとは対照的な雰囲気を纏う“ピンク”というカラーリングを取り入れた理由はありますか?
Infra Luna 2.0は、シルバーとピンクの2色で再編集されています。ですので、ピンクが“モダンでシンプルなシルバー”の本来の意図を損なうことはありません。私の考えでは、ピンクを加えることで、ランプにより柔らかく、官能的な次元が加わります。選ばれたピンクは“塩辛い”色合いで、非常にシンプルで、特別な意味を込めているわけではありません。その一方で、この色がオブジェをより生命力に満ちたものにし、“アニマ(ラテン語で霊魂)”というアイデアが感じられるものとなりました。この色の選定は何度もテストを繰り返した結果であり、私たちの意思を表現したものです。
BYREDO Infra Luna 2.0
発売日:4月25日(金)
販売場所:〈BYREDO〉公式オンラインストアおよび表参道店
価格:42万9,000円(税込)

















