言霊とインスピレーションが導く音の旅路 ── 11 最新シングル『Theory of Art』リリース記念インタビュー
目に見えない世界との対話から生まれる、11の音・言葉・ビジョン
『Hypebeast(ハイプビースト)』の展開する音楽ディストリビューション・レーベルブランド「Hypetrak(ハイプトラック)」から、福岡を拠点に活動するアーティスト 11(イレブン)の最新シングル『Theory of Art』が、7月11日(金)にリリースされた。
2000年に画家である母のもとに生まれた11は、幼少期からアートが身近にある環境で育つ。さまざまな国を旅し、自由な感性を培った彼女は、友人のレコーディングに参加したことをきっかけに創作活動を開始。自ら作詞/作曲を手掛けたシングル『Happy New Year』を、2022年12月にインディペンデントでリリースした。シンガー/ソングライターとしての活動に留まらず、プロデューサー業も精力的に行い、現在はプロダクション ELEMENTS(エレメンツ)も運営。「アーティストではなく、人生がアートそのもの」と語る11にとって最も大切なのは、“インスピレーション”と“言霊”だという。言葉が持つエネルギーを深く信じ、自身の作品のすべての音と言葉に意味を込める。音楽家という枠を越え、ヒーラー、メッセンジャーとして目に見えない世界のエネルギーをアートへと昇華し、ポジティヴなメッセージを世に送り出し続けている。
美しいストリングスから始まる新曲『Theory of Art』は、11にとって初めての試みが詰め込まれた作品。タイトルやリリックにも彼女の思想がストレートに反映され、今の11を体現する1曲に。『Hypebeast Japan』では『Theory of Art』のリリースを記念し、11と彼女のコラボレーターであるCETLO(セトロ)へのインタビューを敢行。最新作に込められた想い、そして目に見えない世界との対話から生まれる11の音・言葉・ビジョンを掘り下げていく。
ある出来事がきっかけで、“自分の使命”を強く意識するようになりました
Hypebeast:11さんが音楽に興味を持ったきっかけを聞かせてください。
11:幼い頃から音楽は身近にあって、ずっと好きだったと思います。小学校1年生のときに母がアヴリル・ラヴィーンの『Girlfriend』のCDを買ってきて、突然その歌を暗記してって言われたんです。ですから私が最初に覚えた歌は『Girlfriend』でしたね。また、車の中で流れていたボーイズ II メンの音楽には心を掴まれて、涙が出るほど感銘を受けました。その後もトロピカルハウスなどさまざまなジャンルにも興味を持ちましたが、ある日クリス・ブラウンを聴いて「この人天才だな」と衝撃を受け、R&Bにのめり込んでいきました。
自身が音楽で何かを表現したいと思うようになったのはいつ頃からですか?
11:小学校3年生の時、学校のタレントショーで何か出し物をやることになったんです。みんなはマジックを披露したり、好きな歌を歌ったりするんですけど、私は友達を何人か集めて、その子たちにダンスの振り付けを教えて、パフォーマンスをしてもらいました。本番当日、私はステージの後ろでその様子を見守っていたんですけど(笑)
まるでプロデューサーですね(笑)
11:そうですね(笑)。カラオケに行った時も、友達にハモリを覚えさせたりしてました。当時はもちろん自覚はなかったのですが、もともとプロデュース的なことに興味があったのかもしれません。
実際に音楽制作を始めたのは?
11:2020年ごろ、既に音楽活動をしていた友人に誘われて、初めてスタジオに入りました。そこでちょっと歌ってみなよと言われ、歌ってレコーディングしたんです。その仕上がりを聴いて、良い機材で録って、ちゃんとミキシングすればこんなに綺麗に仕上がるんだと感じました。これなら誰でもできるんじゃないかと思い、自分でも楽曲制作を始めました。
それまでライブハウスやクラブで歌ったりした経験はあったんですか?
11:いや、なかったです。でも家族の前で歌ったり、家の中でめっちゃ踊ったり歌ったりはしてました。
いきなりレコーディングからキャリアが始まったんですね。それ以降に自分の曲を制作するようになるわけですか?
11:実は当時未熟な恋愛をして悲しい経験をしたので、その感情をどうにかアウトプットしたいなと思い、曲を作ってみたんです。その曲を周りの友人たちに聴いてもらったら評判が良く、インディペンデントでリリースすることにしました。
当時は一人で制作していたんですか?
11:自分でタイプビートを見つけて、歌詞を書いて、友人にレコーディングとミキシングをしてもらって、という感じですね。
その後は徐々にご自身の表現、活動の幅を広げていくわけですが、何か転機になるようなことはありましたか。
11:当初は自分の感情をはき出すために曲を作ってたんですけど、ある時私にとってターニングポイントと呼べる出来事があり、そのことがきっかけで色々と目に見えない世界を感じたり、スピリチュアルな体験を重ねるようになりました。「なぜ音楽は存在してるか」という問いにも向き合い、自分の使命というものを強く意識するようになったんです。
「ターニングポイントとなった出来事」を具体的に教えていただけますか?
11:日付まではっきりと覚えているのですが、2020年の12月28日にある人物が目の前に現れ、それまでの人生で感じたことのない大きなものを感じたんです。なんか自分と一緒だみたいな。この感覚をどうにかして言語化したいなと思い、その人と私の共通点を探ると、二人とも同じ星座だということが判明して。それから数秘術のことを知り、調べたらその人と私のライフパスナンバーとソウルナンバーが全く一緒だったんですよ。なるほど、あの日感じたのはこのことだったのかと。そのような気付きを経て、星座や数秘術について深く研究するようになりました。宇宙の言語というのは本当に根本的なことで、いろんな人たちが知ると楽になったり、すべての意味がわかるようになっていく。その事を伝えたくて、音楽に練り込んで暗号のように発信してる感じです。
11さんの知る限り、同じような事をやっているアーティストって他に誰かいますか?
11:まだきっと言霊を使う人たちはいると思います。でも、多くはないですね。日本の昔の言葉だったり、昔の歌にはそういったものが存在しますし、演歌にもまだぎりぎり言霊を感じるものがあります。例えば、北島三郎さんの有名な『まつり』などには、日本の和の心という言霊を感じますね。
11というアーティストネームの由来も教えていただけますか?
11:私のライフパスナンバーとソウルナンバーの6個の数字のうち、5個が11だったので、11として活動することに決めました。ライフパスナンバーは今世での命のテーマと言いますか、この地球での使命みたいなものが刻まれてて、私は11のことをするために生まれてきたんだと悟って。全世界、宇宙の共通言語が数字なので、11の読みは本当は「じゅういち」でも「イレブン」でもないんです。そのまま「11」。
自身のプロダクション ELEMENTSを設立した経緯について教えてください。
11:シンガーと呼ばれることに私は違和感があって。歌声で人と競ってるわけではなく、違うもので評価してほしいという気持ちがありました。映像を作ったり、トラックを作ってみたり、絵を描いてみたりと表現の幅を広げていくうちに、あらためて自分はプロデューサーなんだと強く意識し始め、ELEMENTSをスタートしました。その後CETLOと出会ってから一気に色々と動き始めた感じです。
ELEMENTSの具体的なビジョンはありますか?
11:ELEMENTSのメンバーは私たちだけに限定していません。生きている人は全てアーティストだとみなさんに自覚してもらいたい、という思いが原動力なんです。それぞれがプロデューサーだという信念を持って活動しているので、そのことに共感してもらえる人たちはもう全員仲間だと思ってます。そんな人たちと一緒にアートを作っていきたいですね。
楽曲制作のプロセスについて教えてください。
11:例えば寝ようとした時に突然シナリオが降りてきて、眠くても起きてイヤホンをつけてマイクを握ると、30分くらいでパッと曲ができたりします。頑張ると絶対出てこないんですよ。なので、奇跡といったら大袈裟かもしれませんが、奇跡を起こす体質を維持することが重要だと私は思っています。
突然アイデアが降りてくるという感じでしょうか。歌詞と音、どちらが降りてくるんですか?
11:最初は具体的な言葉ではなく、伝えないといけない感情、ムードのようなものが降りてきて、それを表すために言葉にします。言葉にした瞬間、もうそれを読むだけでメロディが出てくるんです。
間近でみているCETLOさんにもその辺をお伺いしたいです。
CETLO(以下、C):彼女は大体直感で降ろすタイプなので、30分から1時間くらいで出来るものが本当に良いと思える作品になることが多いですね。それ以上時間をかけてしまうと、良い作品は生まれていない気がします。
曲ができた後に手直しはするんですか?
C:あまりしないですね。基本、彼女は一発撮り。やはり1番最初のテイクがすごくいい味を出すので、それをなるべく尊重してあげたいなと。何回も聞いて気になる箇所だけ録り直したりすることはありますが、ほとんどは最初のテイクを使用することが多いです。
11さんのアーティストとしての魅力を一言で表現するとすれば?
C:一言で表現すると「ユニーク」になるのかな。もっと具体的に言えば、何かのジャンルに縛られずに、自分自身のブランドで活動していることでしょうか。自分自身の味を出してしっかりやってるところが、僕から見ると魅力的だと感じています。
11さんが創作活動で最も大切にしてることは何ですか?
11:私が作る全ての曲には、共通のメッセージがあります。聴いた人たちがインスピレーションを受けて、自分のことをもっと表現しようと思ってもらいたいですし、そういったエネルギーを毎回込めています。
ご自身をヒーラーやメッセンジャーと称されていることにも関係していますね。
11:音楽の歴史を遡ると、もともとヒーリングに使われていて、当初は自己表現の手段とかではなかったんです。病気の人や元気がない人たちに対し、ある周波数の音を鳴らすと、お薬がなくても治るようになってるんですよね。今の時代は音楽を通して自己表現をすることがヒーリングになることもありますが、私としては音楽の根本的な役割を、ヒーラーとして伝えているつもりです。
自分の好きなものを集めたら作品になるというのが、私の“アートの理論”
今回の新曲『Theory of Art』について聞かせてください。
11:それまでインスピレーションを受けたトラックに言葉を乗せていたんですけど、今回はボーカルだけを先に録って、後から自分の好きな音を加え、ミキシングを行いました。CETLOと一緒に制作するようになって以来、そのやり方は今回が初めてでした。自分が好きな音をどのタイミングで入れるかまで、初めてトライした曲です。途中でリバースが入ってたり、間があったりとか、ちょっと遊んでいます。そのプロセスに自由というキーワード、何でもありという思いが込められていて。自分の好きなものを集めたら作品になるというのが、私のアートの理論(Theory of Art)だと思い、タイトルにしました。リリックの中で「Tryna Love You with No Question」、つまり「疑いもなく迷いもなく何々を愛す」という部分がパンチラインになっているんですが、自分が好きって思ったことは素直に表現しても構わない。誰がどう言おうと、迷いもなくはき出してみて大丈夫っていう歌詞です。
11としての今後のビジョンや進行中のプロジェクトがあれば聞かせてください。
11:このシングルの後、2025年に制作した作品をまとめたSUMMER EPをリリースします。それからいくつかのプロジェクトも準備していて、来年にはアルバムをリリースする予定です。アルバムに関しては、今まで何となく感じていて、正しいか分からなかったビジョンがいまはもうすごくはっきりと見えていて。宇宙の法則が何個かあるのですが、そのうちの12個ほどを一つひとつ説明すると言いますか、それらを暗号で潜在意識に届くように、各楽曲に込めるつもりです。今まさに制作中なのですが、そのアルバムを作るために私は生まれてきた、と言っても過言じゃないくらい最大のプロジェクトになります。それを終えたら、もしかしたら音楽を作るのをやめるかもしれません。大袈裟ではなく、それほどの想いを込めた作品になる予定です。正しいものを皆さんに届けるため、しっかり時間はかけたいと思います。
最後に、リスナーや読者の方にメッセージをお願いします。
11:私の音楽を聴いてくれて何かを感じたのであれば、あなたと私たちは近いって伝えたいですし、もし私の名前の11がただの数字に見える場合は、まだ違うところにいるかもしれません。あとはそうですね…皆さんに幸あれ!という感じです。一緒にぶち上がっていきましょう!
〈11〉
【LOOK 1】
RUNWAY DRESS:71,500円、RUNWAY SKIRT:293,700円、RUNWAY BOOTS:参考商品
【LOOK 2】
KNIT TOPS:78,100円、DENIM PANTS:59,400円、PUMPS:88,000円、BELT:59,400円、SUNGLASS:31,020円
(全てDIESEL)
アーティスト:11 with CETLO
タイトル:『Theory of Art』
配信日:7月11日(金)
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