アイシャドウパレットが再ブーム中 ── でも“今どき”はちょっと違う?
ノスタルジックなビューティトレンドが続くなか、今愛されコスメのアイシャドウパレットが進化中
アイシャドウパレットが全盛期だったのが、2010年代。物理的にも存在感的にも、とにかく“デカかった”時代だ。2026年の今、世代を問わずビューティーラバーたちはメイクのトレンドにノスタルジーを感じていて、その中にはもちろん、かさばるサイズ感の10年前のパレットでつくる大胆メイクも含まれている。〈Urban Decay Naked(アーバンディケイ ネイキッド)〉や〈Too Faced(トゥ フェイス)〉の、かつてヘビロテしていたパレットだ。“クリーンガール”疲れが一層広がるなか、あのマキシマリストなメイクの定番が再びルーティンに戻りつつある。ただし、当時の記憶とは少し違うかたちで。
多くのメイクラバーにとって、パレットブームはそもそも終わっていない。実際、『TikTok(ティックトック)』では、10年以上前に買ったアイシャドウパレットをいまだに使っていると打ち明けるユーザーもいる。ただしビューティーの専門家たちは、コスメは基本的にティーンから大人までの“一生モノ”として設計されているわけではなく、長く引っ張るほどリスクのほうが大きくなると警鐘を鳴らす。具体的な使用期限について、〈The Spa Dr(ドクター・スパ)〉の創設者は「多くのアイシャドウパレットは開封後およそ12〜24カ月間のうちのみ安全に使えるよう設計されている」と話す。「いつ買ったか思い出せないなら、それが捨てどきのサインです」と『Hypebae』に語った。
同様に、認定を受けたサイエンティスト兼ブランドアドバイザーは、目もとは私たちが思っている以上にデリケートだと警告する。彼女によると「スキンケアでは、目のまわりを避けて、という注意書きが必ずと言っていいほどあります。スキンケアにおいては、まぶたの皮膚は薄く、浸透しやすく、反応も出やすいからと、目のキワを避けるようかなり明確に示されています」だそう。「なのにメイクになると、まつ毛の生え際からまぶたまで毎日塗り込んでいるのに、そこには妙に寛容なんです。科学的に見れば、そのギャップはちょっとおかしいですよね」。
@kelseysolesコスメって使用期限切れするの?♬ original sound – Bar Rescue
10年前のチョコレートの香りつきパレットに安心感を覚えるコレクターがいる一方で、あのかさばるキットを時代遅れの遺物として見る人たちもいる。この10年でビューティ業界は大きく変化し、そのことは今私たちが使っているプロダクトからも明らかだ。2026年のビューティーファンは環境負荷に非常に敏感で、その結果、ムダや過剰とみなされるものを遠ざけるようになっている。
とはいえ2010年代当時、私たちのマキシマリストなメイク観において、大きなアイシャドウパレットは実用的なだけでなく、コスパも抜群だった。「当時のメイクトレンドがそれを求めていたんです。カットクリース、ボールドなアイ、しっかりブレンディングされたコントラスト強めのルックには、多くの色が必須でした」とセレブリティ・メイクアップアーティスト キム・バーカー(Kim Baker)は語る。「顔全体の主役はアイシャドウ。消費者にとっても、パレットは“お得感”がありました。1つ買えば何パターンものメイクが楽しめるから、“賢い買い物”だと感じられたんです」。
@flybutter333 2025年中にこのトリオ使い切れると思ってた 🤭 自分甘すぎたでしょ #panthatpalette #projectpan #eyeshadowpans @Natasha Denona #natashadenona ♬ The Months of the Year – The Kiboomers
パレット再ブームの兆しについて、バーカーは「アイシャドウは再び主役になり得る」としつつも、それはかつての28色入りのようなものではなく、もっと“意図的”であることが条件だと話す。「今のメイクトレンドは圧倒的に“肌”にフォーカスしていてミニマル。だからアイシャドウが主役というわけではありません。今売れているパレットは、狙いが明確でよく編集されているもの。デイリーに使いやすいニュートラルカラー、汎用性の高い色設計、もしくはアーティスト目線で構成されたカラーストーリーなどですね。大きくて色数だけ多いパレットは、もはや標準ではないんです」と説明。
その流れは、コンパクトなサイズ感で登場している新作たちにも表れている。たとえば〈r.e.m. Beauty(アールイーエム ビューティ)〉のミニマルなSweet Dreams Eyeshadow Quadsや〈Anastasia Beverly Hills(アナスタシア・ビバリーヒルズ)〉の徹底的に厳選されたMini Eyeshadow Palettesなど。アイシャドウパレットは“死んだ”わけではなく、進化しただけなのだ。
また、セレブリティ・メイクアップアーティスト クリストファー・ジョージ(Christopher George)は「今のパレットはより洗練され、狙いがはっきりしていて、小ぶりで、色の物語に一貫性があります。とにかく色数を増やすというより、どれだけ幅広く使い回せるかにフォーカスしている」と話す。
“過剰よりミニマル”な今の時代、ビューティーラバーたちは過去のノスタルジックなトレンドをそのまま再現しているわけではない。いまの価値観にフィットするよう、アップデートして取り入れているのだ。


















