2026年秋冬ランウェイでは“寝起きヘア”がおしゃれの最前線?
〈Simone Rocha〉のボサふわカールから〈Collina Strada〉の風になびくボブまで
いわゆる“クリーンガールメイク”にはすでに陰りが見え始めており、予想どおりクリーンガールなヘアも、今シーズンのファッションウィークではほとんど姿を見せていない。2026年秋冬シーズンでは、タイトにまとめたアップスタイルや一切アホ毛のないつるんとしたヘアは減りつつあり、〈Simone Rocha(シモーネ・ロシャ)〉や〈Collina Strada(コリーナ・ストラーダ)〉などのブランドは、あえてラフで散らかった、しかし同時に存在感のあるヘアスタイルを前面に打ち出している。
今季は、ヘアがランウェイのベストビューティシーンの多くを席巻している。服がコレクションの主役であることは間違いないが、ヘアをはじめとするビューティのディテールも、デザイナーの世界観を形づくるうえで欠かせない要素である。たとえば〈Di Petsa(ディ・ペッツァ)〉のメデューサを思わせるレザールックや、〈Coach(コーチ)〉が見せた“新学期”ムードのチェックスタイルなど、いくつものショーでいわゆる“寝起きヘア”がムードを決定づけていた。
ファッションウィークでデザイナーたちがこぞって採用してきた引き算メイクと同様に、あえて手をかけすぎないヘアは“キャラクターづけ”の装いに欠かせない要素になっている。絡まった毛束やとかし広げたカールが、力の抜けた一方でどこか反骨的なクールガール像を、外見から語ってくれるのだ。〈Sinead Gorey(シニード ゴリー)〉では、無造作なアップヘアでブリティッシュなパブガールの空気を演出し、〈Pipenco(ピペンコ)〉はふんわりとしたカールヘアで、メゾンのルーマニアのルーツにさりげなくオマージュを捧げていた。
一方で、ラフなヘアは、各ブランドが長く築いてきたビューティコードを今の時代に合わせて更新する手段にもなっている。複雑なアップスタイルやリボン編み込みのブレイドで知られる〈Simone Rocha〉は、2026年秋冬コレクションのショーであえて広がりのあるロングヘアを取り入れ、夢のようにフェミニンなモチーフを引き立てた。同じく〈Collina Strada〉のニューヨーク・ファッションウィークのショーでも、さまざまなヘアタイプに合わせたラフなスタイリングを施し、ブランドらしい遊び心のあるビューティを際立たせていた。
アホ毛を1本残らず抑え、ヘアスプレーを何度も重ねて理想のスタイルをつくり込むのに、何時間も費やすことはできる。それでも今季のランウェイが示しているのは、“ときにはわざとらしくない乱れのほうがずっと洒落て見える”ということだ。完璧すぎないヘアスタイルこそ、緻密に作り込んだルックと同じくらい計算されていて、そのうえ格段に時間も手間もかからないのがトレンドの秘訣かもしれない。
















