今すぐチェックしたい黒人女性アーティスト8人
黒人歴史月間にあわせて
2025年10月の黒人歴史月間(Black History Month)が続くいま、ウォッチするべき注目の黒人女性のアーティストをご紹介する。メインストリームの議論では見過ごされがちな境界を押し広げるクリエイターたちが、独自の技法と力強いテーマ、そしてパーソナルな物語でアート界を塗り替えている。
絵画や写真からミックスドメディアまで、注目すべき分野は多岐にわたるが、その中でも最注目株だけを厳選。マルチメディアの鬼才 チャバララ・セルフ(Tschabalala Self)、表情豊かなフォルムのジャック・カバング(Jack Kabangu)、謎めいた作品で知られるローレン・ホールジー(Lauren Halsey)など、どのアーティストも力強く、パーソナルで、妥協なきオリジナリティを提示している。
コンテンポラリーアートを再定義する黒人女性アーティストの厳選リストをチェックして。
クアリーシャ・ウッド(Qualeasha Wood)
Instagramの投稿を表示
ウッドは、伝統的なタペストリーとテクノロジーを掛け合わせながら黒人女性の身体を通してジェンダー・アイデンティティを探る。デジタルとアナログを融合させ、ジャカードのタペストリーやタフティングによる独自のスタイルで、黒人女性として身を守るという実践を掘り下げてきた。テキスタイルとの家族的な結びつき、クィア・クラフト、インターネットのアバターから着想を得るウッドは、政治環境に新たな視座をもたらし、黒人女性としての在り方を掘り下げる。
チャバララ・セルフ(Tschabalala Self)
Instagramの投稿を表示
ハーレム生まれのセルフは、絵画、版画、彫刻を通じて人体表現を探究する。女性像を主に描き、縫製やプリントを組み合わせて媒体を横断して自己性と人間の生の豊かさを問いかける。既存のアートに応答しつつ文化的イメージをしばしば再解釈することで、黒人女性がいかに客体化され、メディアでどう描かれてきたかを浮き彫りにしている。
ンディディ・エメフィエレ(Ndidi Emefiele)
Instagramの投稿を表示
ナイジェリア出身で英国拠点のアーティスト エメフィエレは、重層的でシュルレアリスティックなマルチメディア作品を制作。フェミニンかつディアスポラ的な日常経験の細部を解きほぐしていく。ナイジェリアに根づく消費と再利用の文化から着想を得たエメフィエレは素材実験を推し進め、テキスタイルや写真の切り抜き、さらにはCDといったファウンド・オブジェクトまで駆使して、豊かなテクスチャーのポートレートを生み出している。彼女の『Instagram』を覗けば、その深みが即座に伝わるはず。
ジャック・カバング(Jack Kabangu)
Instagramの投稿を表示
ザンビア生まれのカバングは、鮮烈な色と太いラインで、宙に浮かぶ顔のような形象を描き出す。そこにはアフリカの部族仮面への批評性が宿る一方、19世紀の蔑称的なジム・クロウ(Jim Crow)の風刺画を転倒させるような身ぶりも感じられる。具象と抽象を横断するその筆致は、抽象表現主義とグラフィティ・アートのハイブリッドで、ジャン=ミシェル・バスキア(Jean-Michael Basquiat)を想起させる。アーバン・カルチャーやヒップホップ、個人的な経験を糧に、観る者をそれぞれの喜びへとつなぐような作品だ。コペンハーゲンを拠点に活動し、これまで東京、香港、ロンドンで展示を行ってきた。現在はイタリア・アレッツォの『LIS10 Gallery』で、2025年12月6日まで個展を開催中。
ローレン・ホールジー(Lauren Halsey)
Instagramの投稿を表示
ロサンゼルス拠点のアーティスト ホールジーは、拾得物、加工品、ハンドメイドのオブジェを組み合わせ、身の回りの人々の生活を反映させる。作品は有色人種、クィア・コミュニティ、労働者階級が直面する課題に切り込む。アフロフューチャリズムとファンクに触発され、アートと建築の可能性を更新するラディカルかつ協働的な実践を展開。今年の「フリーズ・アート・フェア(Frieze Art Fair)」に出展し、〈Gagosian(ガゴシアン)〉ギャラリーからは「現在もっともダイナミックに活動するアーティストの1人」と称されるなど、シーンを席巻する勢いだ。
シアラ・K・ウォルタース(Ciarra K Walters)
Instagramの投稿を表示
ウォルタースは、パフォーマンス、写真、版画、彫刻を横断する学際的アプローチを実践。人体を主題に、自身の身体を素材として卵殻やワイヤーなどを用いた作品を制作し、自己と環境の境界を曖昧にする。最近の活動では、ロサンゼルスで初の美術館個展“Giving you the best that I got”を開催。黒人女性の母性を探る本展では、ノスタルジアや文化的継承を手がかりに、自身の歴史を照らす作品をつくるアーティストたちをフィーチャーしている。ロサンゼルスの『レイマート・パーク(Leimert Park)』で2026年3月まで開催中だ。
アビゲイル・ルシアン(Abigail Lucien)
Instagramの投稿を表示
ハイチ系アメリカ人の学際的アーティストであるルシアン。彫刻から文学まで横断し、受け継がれた植民地的構造や信仰体系との関係を見つめながら、帰属、神話、場所といったテーマに取り組む。ルシアンの作品に頻出するモチーフは喪失と瞑想に通じ、過去と向き合い経験を咀嚼していくプロセスを丁寧に紐解いている。ルシアンは最近、〈Forbes(フォーブス)〉の「30 Under 30」に選出。作品は全米各地の美術館や機関でも展示されている。
アンブローズ・ラプソディ・マレー(Ambrose Rhapsody Murray)
Instagramの投稿を表示
マレーは、テキスタイルから絵画までを横断するマルチメディア作品で知られており、色彩豊かなタペストリーは家族史や黒人の女性性、スピリチュアリティを掘り下げる。編集部の個人的なお気に入りの1作は、『The hummingbird hovered within the house』(2023)。家族写真をパッチワーク状に組み合わせ、ごくわずかにぼやけさせることで、人物のまわりに温かな光輪のような効果を生む。柔らかなファブリックと落ち着いたナチュラルトーンで、豊かな系譜を紡ぎ出す。また、〈Forbes〉の年次「30 Under 30」にも選出されており、マレーは間違いなく注目すべき存在だ。



















